電動タッカーのステープルの選び方

電動タッカーのステープルには、CT線、RT線、J線の3種類があります。ところが、ネット上の記事を読んでも、細かな違いを羅列するのみで、何を選べばよいかきちんと解説されているものが少ない気がしたので、ここにメモしておきます。

まず、当たり前のことですが、仕事で使う道具であれば、先輩や同僚に尋ねて同じものを揃えておく方が無難です。何か理由があってそのステープルが選ばれているのでしょうし、ステープルが無くなったときに、融通してもらえます。周囲に尋ねる人がいない場合や、個人で使う場合に、以下を参考にしてください。

J線(肩幅4mm/10mm)

J線(マックスでいう4J/10J)は、建築現場で最も一般的に使用されているステープルです。もともとエアタッカー用の規格なので、3種類の中では針の断面が最も大きく丈夫です。仕事で使用するもので、何も理由がなければ、J線の肩幅10mmを買っておけばOKです。足の長さも、6mm~25mmまで幅広く選べるので、ルーフィングの固定から合板の固定まで、何でもこなせます。

唯一の欠点は、プロ向けの規格のために、ステープル(針)が1箱5000本以上の大箱でしか売っていないことです。個人で使うには量が多すぎると感じるかもしれません。

肩幅4mmは合板などのボードの固定専用です。

CT線(肩幅12mm)

CT線(マックスでいうT3ステープル)は、最初に登場した規格で、手動のガンタッカーで多く使われています。強度を必要としない油絵のキャンバス張りや、家具製作に向いています。ステープルが1000本~2000本の小箱で売っていることが大きな特徴です。基本的に、少ししか本数を打たない個人/DIY向けと言えます。

ただ、建築現場でプロがCT線を使用する場面もあります。それは板金屋さんです。急勾配の屋根にルーフィングを打ち付けるとき、電動タッカーではいちいち腰をかがめなければならず、また、重たくて不便なので、振り回すだけで打てて軽量なハンマータッカーが好まれます。この場合は、基本的にCT線になります。

CT線は断面がJ線よりも小さいので、強度は強くありません。また、足の長さが8,10,13mmの3種類しかないので、分厚い合板を固定するような場面には不向きです。ただ、柔らかい木(スギなど)に断熱材やルーフィングを打ち付ける場面では、この程度でも十分です。

プロが電動タッカーとしてCT線用を買うメリットは少ないのですが、個人/DIY用であれば、ステープルが小箱で購入しやすいCT線は選択肢に入ってきます。また、既にCT線用の手動ガンタッカーを持っているのであれば、電動タッカーをCT線で揃えるのも十分にありです。

私も仕事で電動タッカーを使用していますが、あまり本数を使わないことと、薄いものを取り付ける場面が多いので、CT線用を使っています。マキタ製品の場合、ともすると18Vや40Vmaxを選びがちですが、10.8V用にすると軽量で取り回しもしやすいです。

RT線(肩幅10mm)

RT線(マックスでいうT4)は、製品としては存在していますが、個人/プロのどちらも、買うメリットはあまりありません。もともとはスウェーデンのラピッド社製の手動ガンタッカー・ハンマータッカー用の規格なのですが、強度がCT線とJ線の中間程度と中途半端で、足の長さも7,10mmの2種類しかありません。同じ肩幅10mmであれば、強度もあり足の長さの選択肢も多いJ線用を買えばよいだけの話です。また、シェアも少ないので、一般的なホームセンターではRT線のステープルはまず置いておらず、いちいちネットで注文することになります。既にRT線用のタッカーを持っていて、規格を揃えたいような場合以外は、購入の対象になるとは思えません。

少し擁護するとすれば、マックスの手動ガンタッカー(CT線/T3)を使っていて、木が堅いために針が曲がるような事態が頻発する場合には、少し断面が大きく丈夫なRT線用のラピッド社のガンタッカーを買うのは選択肢に入るかもしれません(ただ、これはあくまで手動のガンタッカーの話です。電動タッカーであれば、さらに強度のあるJ線用を買えばよいだけの話です)。

個人の意見ですが、ご参考までに。